雲南省 元陽と羅平の旅2

liyuan2008-02-09


2日目。
またもや濃霧…。
HTLの建物すら、霧に霞む。


とりあえず、少数民族「ハニ族」の村を見学し、その間にお天気が回復するのを待ちましょう…というガイドの言葉に、一縷の望みを残して、いざ出発。

箐口哈尼族民俗村(せいこうハニ族民俗村)

さて、ハニ族の村に到着はするにはしたが、あたり一面、相変わらず深い霧に覆われており、棚田が見えるはずのポイントで写真を撮っても、白い霧しか映らないという有様。



観光客に開放されている村に、入場料30元を支払って入る。
ここは今でもなお棚田を利用した米作が行なわれており、約150世帯、およそ800人のハニ族の人々が暮らしている。






入口近くの家の前におばあさんがいたので、写真を撮ってもよい?
と聞いたら、OKというので写真を撮ったら、いきなり「2元!!」と言い出し、
しかも3人で写真を撮ったら、1人2元を要求された。


なんだかちょっと胸につめたい隙間風。


写真を撮らせてもらう代わりにお金を払うという行為が、
自分の中で上手く消化ができない。
2元のお金をケチっているのではなく、
なにか、自分たちがいけない事をしているのではないか・・・という気にさせられるのだ。
子供たちがお小遣いほしさに、写真を撮ってほしそうにウロウロしていたりする。
そうじゃない子もいたけれれど。
私たちが観光で気安く入れるというのは、こうやって彼らの生活を乱していくことなんだということを強く感じさせられて、ちょっと心苦しかった。


希望の光

ハニ族の村の見学を終えて、車に戻るまでの間、やっとお日様が少しだけ顔を出してくれた。
太陽の力は偉大だ。日が差すと、とたんに暖かくなってくる。
すると、空気が動いて、風が生まれ、深い霧が動き始める。


さっきまで何も見えなかった棚田があろうはずの場所に薄日が差し、
ほんの少し棚田が見え隠れする。



「おぉぉぉ!!!!」



しかし、すぐに太陽が隠れ、再び深い霧に覆われてしまった。
まるで、「ちょっとだけよ」とじらされてる気分。


棚田 虎嘴口

ハニ族の村で、ちょっとだけ棚田は見れたものの、数分後にはまたすぐに深い霧に閉ざされてしまった。
車窓からは、真っ白な霧しか見えない中、虎嘴口という棚田の絶景ポイントへ移動。


いやな思い出がまたもや頭をよぎる。
以前、友人たちと、張家界へ行った時も、雨と濃霧で、まっちろけっけ。
絶景といわれる景色はほとんど見られなかったのだ。
そういや、旅に出る度に、雨とはいわねど、毎回お天気がかなりよろしくない気が…。
今まで、あたしのせいじゃないもん!と言い張ってきたけど、どうやらもうはっきりと認めるべきときが来たようだ。


虎嘴口では、チラリとも棚田が見えないほどの濃霧。
手すりの向こうが、平地なのか、谷なのか、海なのか(んなわけないけど)、まったく分からない。
目がチカチカしてくるほど、真っ白だった。
ひどいもんだ


せめてものなぐさめに、HTLで購入した絵葉書を眺める。
この霧の向こうには、こんな景色が広がっている・・・はず。



壩達梯田(はたつていでん)

せっかく元陽まで、来たのに、棚田の輪郭すら見えず、かなり凹む。
ガイドさんもこんなにひどい霧はめずらしいと、ため息混じり。


お天気に左右されるツアーだから、仕方ないとはいえ、
どよーんと凹んでいる私に、一緒に行ったMは、
「きっと神様がまだ見るべき時じゃないと言ってるんだよ。見るべきときがきたら、きっと見れるよ。」
と前向きな発言。


おそらく今回行ったメンバーの中で、一番棚田をみるのを楽しみにしていたMのその言葉に、多少は救われたものの、自分も見たいけど、Mには絶対見せてあげたい・・・というやり場のない気持ちが、渦巻く。


すると…。
そんな思いが天にとどいたのか、急に、ホントウに急に、霧がスッと晴れた。
というか、霧の中から、抜け出した感覚。
パーッと目の前が明るくなり、崖の下に棚田がようやく姿を見せてくれた。
それまで、散々じらされた私たちは、思わず叫ぶ。


「停めて!! 車、停めて!!!」


またいつ霧に覆われるか分からない。
車を飛び出し、一瞬の景色をカメラで切り取る。




しかし山の天気は本当に気まぐれだ。
ほんの数分で、棚田は再び霧に隠れてしまった。


でも、めまぐるしく変る天気に、ほんの少し希望の光が見えてくる。
バスに乗り込み、壩達梯田の絶景ポイントを目指す。


道中、ガイドの孫さんが、中国語でこのように変りやすい山の天気のことを、
「一山有四季 十里不同天」というのだと教えてくれた。
口々に繰り返す私たち。孫さん、もう1回言って〜とメモを取る。
バスの中は、さながら中国語教室のようだった。


そして、駐車場に到着。
空は晴れている。
これは期待できるかも!
と急ぐ私たち。


展望台へ行く途中にトイレがあったので、寄ることにした。
一本の溝の上に、横との仕切り板があるだけの、典型的なニーハオトイレに、
おののくAさんをなだめつつ、用を済ませて出てきたら、
またまた天気が一変して、霧の中…。
孫さんがトイレなんかに寄ってるから天候変っちゃったよ…と言いたげな顔で、待っている(笑)


展望台から見える景色も、やっぱり霧。


霧がものすごい勢いで、動いていて、時折太陽が顔を出すが、
なかなか霧は晴れてくれない。
どれくらい待っただろうか。
その間にも、たくさんの観光客が訪れては、諦めて去っていく。



しばらくして孫さんが仕方ないな…というような口ぶりで、
「これ以上待っててもたぶん見れませんから、移動しましょうか。場所を変えれば見れるかもしれないです。」と私たちを促す。



でも。
諦めたくなかった。
少なからず、勝算もあった。


風もあるし、
太陽は時折顔をだす。
風に促され、霧は確実に動いている。


絶対にこの霧は晴れる。
確信にちかい願いをこめて、
私はガイドに言った。


「あと15分。10分でもいい。お願いだからもう少し待たせて。絶対この霧は晴れるから。」



風が吹くたびに、霧は動いている。
ここで諦めたら、きっと一生後悔する。




強く、強く願えば、必ず想いは届く。




そして、私はシャーマンになった。
(なんのこっちゃ)



太陽の力を、左手から充電し、そして霧を動かす動作をする。


「開けー!」


すると、近くにいた中国人観光客のおっさんも同じ動作をしていた。


「打開〜!!!(開け〜)」



シャーマンになったのは、私だけじゃなかった(笑)



しかし霧は動いてくれない。


そうこうしているうちに、再び霧で覆われる。
中国人観光客たちは、諦めて帰り始めた。



気がつくと、私たちの運転手の訒さんまでやってきていた。
あまりに遅いから様子を見に来たのだろう。
ガイドの孫さんが「あいつらしつこくて…」と言ってたかどうかは、
定かではないが二人して呆れ顔でこっちを見ている。



「お願い、あと5分。」



そして、再びシャーマンになる。
「お願い、動いて!少しでいいから、棚田を見せて!」


そう念じながら、全身の気を吐きだして霧を吹き飛ばす。
ふぅぅぅ!霧よ、飛んでけー!!!



・・・はっきり言って、傍から見たらただのアホである。
でも、この時の私は、1mmもそんな事は考えなかった。


それだけ必死だった。
それだけどうしても見たかった。
もう一生来るチャンスはないであろう、この地で、
絶景といわれる風景を、どうしても見たかった。



すると。
天の神様も、さすがに哀れに思ったのか、それまで以上に霧が動き始めた。



キ、キタ……(゚∀゚)……?



ぐんぐん霧が動いていく。



風よ吹け〜!もっと吹け〜!



Aさんの息でももう一度!ふぅぅ〜!





あぁ、ついに山肌が見え始めた!




キタ━━゚+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚━━ ッ !




するとMとAさんが、帰りかけた中国人観光客の一団の背中に、大声で叫ぶ。


「回来〜!!!打開了〜!!!(帰ってき来て〜!開いたよ〜!)」


彼らの足が止まり、振り返る。


「真的、假的!?(マジ?!)」


「真的〜!!!!快来〜!!(ホント〜だよ!!!早く〜!!)」


そうこうしている間にも、霧はどんどん動いて山肌にビッシリと作られた、
棚田が見えてくる。


息を切らせて戻ってくる観光客たち。


「うぁ〜!!!ホントだ。すごい!!!」と口々にいいながら、カメラを構えるみんなの嬉しそうな顔、顔、顔。


そして、みんなで一緒に、「打開!打開!!」と霧を動かす動作をする(笑)
妙なところで、一致団結。



さすがに、全開とまではいかなかったけど、
でも十分。
散々、じらされて、それでも信じ続けた結果、
ようやく、本当にようやく見れた景色。



まさに、感無量。



しかし、この山肌に、山頂から山すそまでパッチワークのように見えるけれど、
1つずつ人間が作った田んぼなのだ。
今でも水牛と共に、この田んぼを耕して、暮らしている人々がそこにいる。
自然と共に暮らしている人々の息遣いが聞こえてくるようだった。

 

雲南バナナ

元陽を後にして、この日の宿がある開遠を目指す。
山を下る途中、たくさんのバナナの畑がたくさんあった。
そんなバナナ畑を通り過ぎるたびに、Mがバナナ食べたい…とずっとつぶやいていた。
どうやら相当のバナナ好きのようである。

そうは言っても、さすがに車を停めて、バナナを取ってくるわけにも行かず、
開遠の街についたら、市場にでも寄ってみるか…と思っていたら…。


なんと、バナナの即売所を発見。
これまたすぐに「車停めて!!!! バナナ買いたい!!!! 」とMが叫んでいた(笑)



寒いから車降りたくないようぉと思いつつ、写真を撮るために、私も下車。
バナナは、一房ではなく、一枝で売ってる…。
そんなに食べる人、サルくらいしかおらんと思うけど…。
と思ってたら、買ってる人がいた(^_^;)



そして、Mも嬉しそうに小さ目の雲南バナナを購入。
一本分けてもらったけど、甘くて美味しかった。
Mは驚異的な勢いで、バナナを次々と平らげていく…。
ホントに好きだったんだねぇ(笑)