十年徒歩中国万里長城(古北口長城)

liyuan2006-09-16



古北口長城で、ウォーキング大会が開催されるというので、4月の司馬台に続いてまたまた参加してきました。
10年かけて長城を制覇するというイベントらしく、3年前から開催されていたそうです。(1年に一箇所)
山海関から始まり、今年は北京の古北口。ちなみにゴールは2012年の敦煌「嘉峪関」だそうです。


古北口長城は北京市内から車で3時間ほどの場所にあり、4月に歩いた司馬台長城と、金山嶺長城の間辺りに位置しています。
観光用に整備されていなく、日本人のツアーではほとんど行っていないと思います。
こういうイベントに参加しないと、なかなか行けないです。


朝、7時に出発し、10時過ぎに到着。
途中、事故渋滞があり、大会参加者の中では一番乗りでした。
他の参加者の到着を待って、農家のおばさんたちの歓迎のセレモニー秧歌が始まりました。



「秧歌(yang ge:民間舞踊)*1


今回は、8Kmコースと、12kmコースがあります。
家族連れの参加者は、みな8Kmコース。
ダイエット中のNさんは、12kmコースに行くと張り切っています。
私と先輩は、分岐点まで、コース決定を保留。
そして、長い開会式の後、11時半過ぎにいよいよ出発。
なんだか段取りの悪い開会式で、出発前に疲れちゃいました。



「民家の庭先に咲いていた大きな向日葵。こんなに背の高い向日葵ははじめてみました。」


農村を抜け、山道をテクテクと歩くけれども、ちっとも長城にたどり着きません。
とぉーくの山のてっぺんに、長城らしき影が見えたけれども、ま、まさかね…。
40分ほど歩き、バテ始めた頃、足場の悪い岩山が目の前にそびえたちました。
蟻の行列のように、参加者が登っているのが見えます。

「蟻の行列。頂上にある建物が長城です…」


どうやら本気でここを登れと…。
急な岩場には、ロープがはってあり、係員のお兄さんが手を差し伸べてくれています。
こんなに足場が悪いなんて、聞いてないよぉー!と叫びながらも、なんとか通過。
長城にたどり着く前に、バテバテです。
ハイキング気分で来ていたので、靴は底の磨り減ったスニーカーだし、飲料水も1本しか持たず。あたし、無事にゴールできるのでしょうか…。


ようやく長城に到達。
山頂は、とても心地よい風が吹いています。
でも日差しが強くて、日に当たるだけで体力を奪われそう。
丁度お昼時だったので、とりあえず矢倉の中で、お昼を食べました。
前日の夜11時過ぎまで飲んでいたので、お昼の用意も出来なかったのですが、先輩がおにぎりを私の分まで作ってきてくれていました!!歩いた後のおにぎりは絶品です。


しばしの休憩の後、いよいよ長城ウォークの開始です。

完璧な修復をしていないからこそ、味のある風景ですが、あまり足元が良くありません。そして、かなりの絶壁。
高所恐怖症の人は、足がすくむほどの高さです。
私は、手すりとかがあれば多少高くても絶壁でも全然平気なのですが、ちょっと足を滑らせれば、崖の下に落ちるかも…という恐怖心から、視界の端が時々ゆがんで見えるほどでした。
とにかく、つまづかない様に足元に細心の注意を払って歩く。そして時々立ち止まって、写真を撮って…。とその繰り返し。


8kmコースの分岐点には、あっという間にたどり着きました。
先輩は物足りなそう。私は持っていた水が残り少なかったので、ちょっと不安でしたが、12kmコースに行くことに。




容赦なく照り付けてくる日差しに、体力をどんどん奪われる。
水は、500mlのペットボトル一本だけ。
高さでくらくらしてるのか、熱中症でクラクラしてるのか、分からなくなってくるほどでした。時々吹いてくる涼しい風と先輩から分けてもらった水がなければ、今頃古北口長城の崖の下で干からびていたかもしれません。



砂利が多くて、足元が滑りやすくなっているので、危ないねなんて話していたら、ドイツ人参加者が、狭い道で座り込んでいる。
どうやら足を滑らせて、転んだようだ。足がものすごく腫れていました。
あれは、自力じゃ降りられないだろうなぁ。気をつけなくちゃ…と言った矢先に、先輩が足を滑らせました。


危ないッ!!!


尻もちをついてしまいましたが、幸い、怪我がなくてすみました。
本当に危険です。
ようやくのことで、折り返しポイントに到着。
喉の渇きと高所との闘いからも、ようやく開放されるー!と喜んでいる図↓↓

「折り返し地点にて」


しかし、ここからがさらなる恐怖の始まりでした。

「道なき道を行く…。まさに“下山”」


え!?ここを降りるの!?って感じの山道を下ります。
足元はさらに悪くなっており、ちょっと気を抜くと、すぐにズルッと滑る。
草が背丈ほど生い茂る中、道は細く、その上、よくみると崖になってる!!!
私の靴は、底の磨り減ったスニーカー。挙句に、半そで。
足元が滑るので回りにある草木を掴もうとしたら、棘がある木で痛いし、一度滑ったら、そのまま奈落の底に落ちていきそうな山道。
後ろから来る見ず知らずの日本人夫婦に、山道の歩き方をレクチャーされるも、振り向く余裕はなく、ひたすら言われたとおりに一歩ずつ足を進め必死で歩きました。


急な坂道で、もう絶対に降りられないと泣き言を言っていたら、前を歩いていたおじさんが中国語で、「そっちは大丈夫か!?」と聞いてきました。
「不行!!!(ダメ!)」とっさに答えたら、そのおじさんが、ちょっと待ってろ!と言って戻ってきて、降りるのをアシストしてくれる。
そして、私たちのアシストが終ると、滑り易く細い崖の獣道を、まるで野ザルのように軽々と走って(!)先方に行き、前の方の危険ポイントで再び他の人のアシストをする。
私がちょっとでも足を滑らせて「うぎゃー!!」と叫び声をあげると、彼はすぐにすっ飛んで戻ってきてくれ、崖側に自分が立ち、さっと手を差し伸べてくれる。
そして、危険な箇所を私が通り過ぎるまで、ちゃんとアシストしてくれるのです。


まさに、スーパーマン


大会関係者かと思いきや、彼のリュックの後ろには参加者ゼッケンがついていました。
ってことは、彼は完全にボランティア!?一体何者!?
でも私はきっと彼がいなかったら、無事に山を下りられなかったと思います。
とりあえず平地に無事たどり着いた後、彼の後姿に向かって
「どこぞのダレだか存じませぬが、本当にありがとうございまする…」と、手を合わせたのは言うまでもない。



「下界にたどり着くも、まだこんな獣道。
虫が大嫌いなので、普段だったら絶対に足を踏み入れない…。」


ここからさらに歩くこと1時間。
小さなダムを抜け、アスファルトの道に出ると今度は太陽の照り返しに体力を奪われつつ、なんとか農村を抜けようやくゴールの駐車場にたどり着きました。
今回はどこにも水を売ってる場所がなくて、参りました。
先輩が、先にゴールしている人に電話をして、水の確保を頼んでくれたので、
到着後すぐに水にありつけましたが…。
いやー。ホント、事前に登山靴の準備とか、水の準備を連絡して欲しかったわ…。


ウォーキング大会というから、すっかりハイキングを予想していたのですが、本格的な登山と相成りました。
でももう2度と、こんな怖い思いをしてまで長城に登りたくありませぬ…。


前回の司馬台ウォーキングは、ロッククライミングのようで怖かったのですが、まだあっちの方がマシでした。


ちなみに、帰りのバスの中で、コース地図を見直していたら、私たちが歩いたコースは、15kmとなっていました!!!
申込書には、12kmと書いてあったのに、現地で配られたチケットには15kmと書いてあった。どっちなんだー!?

*1:中国北方の農村で広く行なわれる、ドラや太鼓に合わせて歌いながら踊る民間舞踊で、節句や祝い事の時に行なう