元旦の朝の来訪者

元旦の朝っぱらに、父が玄関から
「ちょっとちょっと、みんな来て。庭に何か居るよ。」と叫んでる。
何事かと思って、覗きに行くと、庭先に小さい毛皮の固まりが…。
よく見てみると、まだ小さな仔猫がうずくまっていました。
寒さと空腹であまり元気がありません。
近づいていっても、下を向いて「ニャーニャー」と鳴くだけでした。


新年早々、なんということでしょう。
元旦に我が家にやってくるなんて、これはもう神様からの贈り物かもしれないから、おうちに入れてあげようよという私に、家族は冷たい反応。


実は、うちには9年前に弟が拾ってきた猫がいる。
かわいそうだけど2匹は飼えないというのだ。
それもそうだ。私は実家にいないので、無責任に強くは言えない。
弟は仔猫の顔を見てしまうと、家に連れて帰りたくなるからと心を鬼にして猫に近づこうとしない。


しばらくほおって置いたけど、猫はじっと同じ場所にうずくまっている。
この寒さでは凍え死んでしまうよ。と言ったら、父が出て行った。
近づくと、今度は「きーっつ!」と歯を剥いたそうだ。
仕方なく熊手で、仔猫を庭先から追い出して、父が言った。
「あの時に、ニャーって鳴いたら、抱きかかえて家に連れてきちゃったかもしれないのになぁ…。俺に向かってキーッ!って歯を剥くんだぜ…」と。



ちょっとかわいそうだったなぁ。でも仕方ない。中途半端に優しくするよりいいかもしれないと思いながら、家の中を見渡すと…。
我が家の猫は、父のぽかぽかの羽根布団の下でぐっすりと就寝中。
同じ捨て猫なのに、なんでこうも境遇が違うのか…。となんだかあの仔猫ちゃんが不憫でなりませんでした。


結局、仔猫ちゃんは自力でどこか安心できる隠れ場所を見つけたようだ。
それ以来姿を見せなくなった。
そう信じたい。
ウチの猫のように、安心してお腹見せて眠れるような場所だといいけどな。