承徳1泊旅行②

避暑山荘


朝6時に隣の部屋のモーニングコールで目が覚めた…。
暫くゴロゴロしていたが、二度寝して寝坊するとまずいので、のそのそと準備をすることに。

洗面所で2匹も小さなゴキブリを発見してしまって、朝から気分が悪い。
部屋に戻って絨毯の上をふと見ると、糸くずだと思っていたモノが、なんと「ヤモリ」だった!!
昨夜となりのイビキの音の合間に、「チチチチチ」って聞こえたのはやっぱりヤモリの鳴き声だったのね…。
ゴキブリよりはマシだけど、やっぱり気持ちが悪い。とかいいながら、写真を撮った。


予定より早めに準備が終ったので、朝食まで部屋で一休み。
部屋にある一人掛のソファーのすわり心地が良くて、かなり気に入った。適度な固さで、足も伸ばせるし、ここで週末の午後に本でも読みながらボーっとしたいなぁ。出来ることなら持って帰りたい!
なんて思いながら、外を見ると朝焼けがきれいだった。





朝食後、「避暑山荘」(世界遺産)の観光へ。(右上の写真は湖景区の風景)
避暑山荘は、総面積564万km2、小長城と呼ばれる城壁の総延長は10km。北京にある頤和園の2倍、故宮の8倍(!!!)の規模だそうだ。
承徳の三分の一を占める。

清の康熙帝が造営を命じ、約90年の歳月をかけて、乾隆帝の時代にやっと完成をした。山荘全体は、宮殿区と風景区(湖景区、平原区、山景区)に分かれている。大小あわせて120もの建物があり、全部見るのに3日はかかるとガイドさんが言っていた。ホントか!?
湖景区は、中国の南方の景色を模して造られ、平原区は内モンゴル地区を、山景区は東北部を表しているといわれており、山荘全体で中国全体を表していると言われている。
承徳には、この避暑山荘があるので他に公園がないそうだ。市民は年間パスを買って、風景区でお散歩をする。庶民の憩いの場になっているとガイドさんが教えてくれた。なんか奈良公園のようですよねとOクンが言った瞬間、野生の鹿を発見!しかし、山荘は城壁で囲まれているのに、なんで野生なのかな…。


避暑山荘の正門である「麗正門」には、清朝の支配構造を象徴した石刻がある。合壁形式(一つのことに対して複数の異なる種類の文字を用いて記すこと)で、門名を記している。乾隆帝の親筆で、左からモンゴル、ウイグル、漢、チベット満州文字で、「麗正門」と記されている。


麗正門をくぐり、内午門(康熙帝直筆の避暑山荘の額がある)をくぐり、宮殿の正殿である澹泊敬誠殿(たんぱくけいせいでん)を見学。全て楠で作られており、別名「楠木殿」とも呼ばれている。
ここでは、大臣との接見や、外国使節を招いたり、主な政務が執り行われた場所だという。全体的に、シックで落ち着いた雰囲気の殿だ。
楠の香り(白檀に似た香り)がほんのりとした。と思ったら、「楠木香」というどこかに居そうな名前のお香が売られていた。楠は虫除けの効果があるそうで、
このお香をたんすに入れておくだけでも効果があるよとガイドさん。30元と言われたので、買うのをやめた。


宮殿区のほかの建物を一通り見学し、門を抜けるとそこからが風景区だ。
目の前に飛び込んできた人工の湖は、杭州の西湖を模して作られているという。
この日は雲ひとつない快晴で、青空の色が池に映って本当に美しい。
元気よくスタスタと歩いていく社長の後姿を目の端で追いながら、ひたすらと景色の写真を撮った。


寒いのに日曜の午前中に、公園の散歩をする老人たちとすれ違う。
きっとこの冷たく澄んだ空気を吸って、この美しい景色をみながら散歩をして、1日の英気を養っているのだろう。


草原区の木にやたらと鳥の巣が掛かってる木があって、あの木、すごいねーと騒いでいたら、ガイドさんに笑われた。あれは、鳥の巣ではなくて、漢方薬になる植物なんだそうだ。てっきり鳥の巣だと思っていたので、びっくり。


赤い木の実がたくさんなっている木を発見。青空とのコントラストが美しい。



避暑山荘の見学・散策を終えた後は、「普陀宗乗之廟(ふだそうじょうしびょう)」へ。ここは、ラサのポタラ宮を模して造られているために「小ポタラ宮」ともよばれている。
乾隆帝の60歳と皇太后の80歳を祝うために造営された。主要建物である「大紅宮」の真ん中に縦に瑠璃でできた6つの仏龕(ぶつがん)並んでおり、大紅宮の上部には横に80の仏龕(ぶつがん)が並んでいる。6つは、乾隆帝の60歳、80は皇太后の80歳を祝う意味があるということだ。




ガイドさんが小ポタラ宮見学を登山と言っていたが、確かに小山を登るごとく階段でひたすら登る。
前日の司馬台長城登りから始まって、朝の山荘散策とよく歩いたため、私はすでにバテ気味。
スクワットトレーニングの効果で、元気ハツラツ、足取りも軽やかな社長の遥か後ろから、トボトボと階段を登る。日ごろの運動不足を嫌というほど実感させられる。


やっとのことで、紅宮の真下に到着。見上げると結構迫力がある。
確かにラサのポタラ宮に似ている。ラサではお天気があまりよくなくて、青空と紅宮のコントラストが見れなかったのが心残りだった。
同僚のO氏は小ポタラ宮を「ハリボテ」と評したが、たしかに本家本元のラサのポタラ宮の荘厳さ、厳粛さには到底及ばないが、この日の吸い込まれそうな青空に、紅宮の赤がくっきりと鮮やかに映え、私は夢中でシャッターを切った。




ウォーリーを探せならぬ、りーゆえんを探せ。さて、私はどこにいるでしょう?(Oクンが急な階段と白い壁の先の抜けるような青空の写真を撮ろうとしていたところ、ついついイタズラ心が出てヒョイと顔を出したもの。撮影時には気がつかなかったOクンは、後で写真を見返してこの黒い物体は何だ?と思い拡大したら、私だったと大層ご立腹だった。…ごめんってば。)」


紅宮の屋上まで、フラフラになりながら登る。
屋上からは承徳の街が一望できる。遠くの山々まで見渡せて、絶景だ。これは、ハリボテだろうがなんだろうが、やっぱり素晴らしい!

とにかく、この日の観光は、1にも2にも、青空の美しさに尽きる。こんなに澄んで美しい青空はもしかしたら、初めて見たかも知れない。本当に美しい冬の青空だった。
普段の週末の午前中はたいてい夢の中だけど、朝の空気のおいしさと、この美しい青空を拝めただけでも、なんだかものすごく得した気分だ。
モヤモヤしていた心の中を、爽やかな風が走りぬけ、空の藍に吸い込まれていくようなそんな爽快感をしみじみと味わった。


承徳での昼食は、昨日訪れた普寧寺の裏にあるホテルでの精進料理。
きのこ類と野菜、そして湯葉を使った料理を食す。
私は、きのこスープが何故かとても気に入って、ひたすらスープをすすっていた。


「足の形。表面は湯葉で、中は様々な種類のきのこ」


「さかな。でもこれもきのこ」