承徳1泊旅行①

司馬台長城


旅人 3人。


週末を利用して、承徳に行くことになった。行く途中で、司馬台長城にも寄ることにした。
車を1台チャーターして、陸路の旅だ。


承徳は河北省の東北部に位置し、北京から230Km離れている。四方を山で囲まれおり、夏は比較的涼しいために、清の時代に夏の御所として避暑山荘と外八廟(共に世界遺産)が建てられた。


北京を朝9時に出発し、まず司馬台長城を目指す。本当は、承徳までの道沿いにある金山嶺長城に立ち寄る予定だったのだけど、シーズンオフで昼食レストランが開いていないということで、少しルートは外れるけれど、司馬台に行くことに。

観光地として一番人気がある八達嶺とは、全く違う表情をしている長城だ。
険しい岩山の尾根沿いに作られた長城を見上げて、こんな険しい岩山に果たして造る必要があったのか?という疑問すら浮かんでくる。
私たちは、ロープウェーを利用して、山の中腹まで行くことにした。

ロープウェーというか、リフトだ。一応二人乗りのカゴになってるけど、かなり怖かった。
しかし、このリフトからの眺めは絶景だ。少し寒いけれど、遠くの山々まで見渡せる。
リフトに揺られること15分ほど。ようやく山の中腹に到着した。
目の前は、絶壁だ。司馬台の長城はその岩山の尾根を這うように造られている。
上からみたら、きっと龍のように見えるだろうなぁ。


ここの長城は、観光地で有名な八達嶺のようにきちんと整備されておらず、それはそれで味がある。
長城に行くには、絶壁の中腹から、歩かなければならないのか…と途方にくれていたら、ケーブルカーのような乗り物を発見。
面白そうなので乗ってみることに。後ろ向きで登っていくけど、思ったほどは怖くない。
それでも、山の頂上まではたどり着けず。結局、10分くらいは歩くことに。
これが、かなり急な道で運動不足の私は、途中でひざが笑ってしまった。辛い。

自称地元の農民という怪しげな物売りのおばちゃんが頼んでもいないのに、2人も私たちにくっついてくる。ついてくるなと言ってもついてくる。そして色々と話しかけてくる。

「お嬢さん、どこから来たの?」
「お嬢さん、ゆっくり登って。足元に気をつけて。」
「お嬢さん、キレイねー。20歳くらい?」
…って、セールストークにも程がある!
この時点で私は、完全に彼女たちを無視すること決定。話しかけられても、一切答えず。
すると、同行していた同僚のOクンは、彼女たちにいちいち返事をしている。

「20歳?んなわけないじゃん。とっくに超えてるよ。あんまり言うと怒るから、それ以上言わない方がいいよ」とかなんとか。余計なお世話だっちゅーの!(怒
無視しないと後で痛い目に合うぞ!



司馬台からの眺めは絶景。整備されていない長城は、足元がちょっと怖いけど、昔の雰囲気が感じられて、歴史が感じられる。とてもいい感じだ。
個人的には、慕田峪長城のほうが、お手軽に絶景を楽しめるのでお勧めだけど。


長城からの眺めをしばし楽しんだ後は、とんぼ返りで戻る。
ずっとついて来たおばちゃんたちが、いつ物売りに変身するかなと思っていたら、帰りのケーブルカー乗り場の直前になって、カバンからごそごそと絵葉書のようなものを取り出して、社長と同僚のOクンにしつこく売り始めた。
出たー!という感じで、私は、見ていたけど。ずっと無視していたので、彼女たちは私にはあまり売ってこない。
だから、無視しろってあれだけOクンに言ってたのに…。


昼食は、司馬台山荘にて。
四合院造りの雰囲気のあるレストランだ。団体メニューだったけど、わりとおいしく頂く。
朝ごはんを食べていなかった上に、長城に登って運動もしたので、みんなの食欲はかなりずごい。


昼食後は、一路承徳へ。
お腹も一杯で、いい感じで眠たくなる。
しかし、途中車窓から眺める田舎の村もなかなか味があっていい感じ。



レンガ作りの家の前にある小さな庭に柿の木があって、おいしそうな柿の実がたくさんなっている。
家の窓辺や、屋根の上など、日当たりのいい場所にトウモロコシをきちんと並べて、あるいは無造作に山積みにして干している。
周りの田畑も収穫が終わり、木々は落葉し、冬間近のなんともいえない物悲しい風景の中で、柿色とトウモロコシの黄色がなんとも言えず鮮やかで美しい。
そんな風景がいくつもながれていく。時間があったら、車を停めて写真を撮りたいくらいだった。


司馬台から2時間弱で、ようやく承徳に到着。
予定より1時間近く早い。とりあえずホテルにチェックインをして、日が沈む前に観光へ。
今日は、外八廟の一つ、普寧寺(別名:大仏寺)を観る。

外八廟は、承徳の北東に点在するチベット仏教寺院の総称で、世界遺産に登録されている。実際は12の寺院があるらしい。
普寧寺は、1755年に着工し4年の歳月をかけて完成した。ことしで250年の歴史がある。
本殿には、世界最大の木彫観音像があり、高さが22.28mあるらしい。でかかった!

この寺院は、前半分が中国式寺院で、奥がチベット寺院となっているめずらしい寺院だ。
一度で二度お徳!って感じだろうか。
この日は、開放時間が4時20分までだということで、30分ほどで慌しく見学をして、ホテルへ戻る。
お腹も空いてないし、承徳の繁華街「南営子大街」をブラブラ見学することに。太陽が沈んだ後の町は、繁華街とはいえなんとなく暗く寂しい。30分くらい散歩をしたが、目新しいものはない。地元のスーパーでミネラルウォーターを買う。小さいスーパーなのに、商品棚一列に3人も店員がいる。(万引き防止のため)日本なら、1列に3人も見張りを雇うなんてありえないけど、人件費が安い故の現象だな。ちょっと前まで北京でもよく見られた光景だ。



夕食は、承徳の特別料理。
承徳は鹿の肉の鉄板焼き名物料理らしい。皇帝が、鹿肉が好物だったためという。

その鹿肉料理。なぜか牛の形をした鉄板にのって出てきた。濃い味付けのために、何の肉だか良く分からない…。トホホ。



一番おいしかったのは、前菜で出てきた、杏の種。アーモンドとほぼ同じ味。



夕食後は、マッサージへ。
実は、繁華街を散歩している時点で、私の疲労はピークに。足取りも重いし、だるくて頭がボーっとする。地方でマッサージをしても上手じゃないことが多いので、マッサージをしないで、部屋で寝てようかなと思ったけれど、ガイドさんが「特別な技術」があるというので、行って見る事に。


足を薬草湯につけている間に、頭のマッサージ。
これが、マッサージというより、頭をガンガンたたかれているだけのような感じで、ちっとも気持ちよくない。耐え忍んで、やっとのことで、足裏マッサージへ。
私を担当してくれた女の子は、意外と足裏の技術は上手だ。うまくツボを突いてマッサージをしてくれるのでとても気持ちが良い。

ふと隣を見ると。社長の担当者は、ダルマみたいな女の子で、動きが緩慢。
私はマッサージ中は眠れない人なので、彼女の動きをずっと観察していたら、そのコは社長が寝ているとみると、とたんにマッサージをしている手の動きが鈍くなる。それって、マッサージってゆーか足を触ってるだけじゃん!
私についてくれた女の子と比べると、手の動きが全然違う。これが「特別な技術」なのかー!?あーーー、ダメだこりゃ。
洗面器と石鹸で、足のクリームを取ったあと、薄汚れたタオルで足を拭かれ、裏返って背中のマッサージ。これが異常に力が強くて、圧死するかと思った。
頭のマッサージの時も思ったけど、私になにかうらみでもあるの?ってゆーくらい力強い。
しかし、足裏は久々に気持ちが良かったので、まぁ満足。


マッサージ後は、部屋に戻ってシャワーを浴びてバタンキュー。
と行きたかったが、テレビを消すとどこからかイビキが聞こえてくる。
え?誰かこの部屋で寝てるの!?
と思い、電気をつけてみるけど、誰もいない(当たり前)

空耳かな?と思って、再びベットにもぐりこむと、やっぱり聞こえてくる。
何なになに?!怖い!
よーーーく聞いてみると、どうやら隣の部屋のようだ。
それにしても、すっごいよく聞こえる。あまりのすごさに、疲れてるのにイライラしてしまって寝付けない。
久々にこんなに壁の薄いホテルに泊まったなぁ。