平遥・太原の旅 2日目

liyuan2005-06-11


平遥駅から、出迎えのワゴンに乗って、まず古城内にある今夜の宿「徳居源」へ向かう。
駅から平遥古城までは、車でわずか10分足らず。
意外なほど近い。
古城内にあるホテルは、民居を改築してホテルにしているいわゆる「四合院ホテル」だ。


最初、城外の4星ホテルに予約を入れていたのだけど、親しい旅行社の方にここのホテルを勧められて、せっかくだから城内にある民居に泊まって見ようってことになったのだ。
今日は空いてるので、一番大きな部屋(2部屋)に泊まれるとのこと。
今回は、3人旅だったが、ホテルはシングル利用で申し込んでいた。


年齢順で、私と先輩のIさんが昔は主人の部屋があった位置にある一番奥にある2部屋に泊まれることになった。
ラッキー!
なんだかお姫様になったような気分にさせられる部屋だ。
これでトイレとシャワーが別々だったら、最高なのになぁと内心思いつつ。


昔の中国の雰囲気たっぷりの中庭で、朝食を頂く。



西洋人の宿泊客が圧倒的に多いとのことで、トーストやら、ジャムやらりんごクレープまで出てきて、ちょっとびっくりしたが、意外とうまい。
白粥とザーツァイも出てきた。
昨晩の火車の食堂車が最悪だったから、余計おいしく感じるのかも!?


いよいよ世界遺産の町「平遥」観光

朝食後1時間弱の休憩のあと、いよいよ平遥古城の観光に!
城内は広いが、日中は車の入場規制があるため、電動カートか、輪タクのようなモノに乗り観光するのが一般的らしい。
城内の規制区域外の場所に、お客を求めて、電動カートやら輪タクやらが列をなしていた。


平遥古城(1997年12月に世界遺産に登録)は、西周時代に造られ、現在の町並みは、明・清時代のまま残されているという。
城壁に囲まれた古城の形が亀に似ているため別名「亀城」とも呼ばれており、商人が活躍した地方経済都市だったとのこと。
城壁内には現在も数万人の人々が暮らし、観光業、農業などで生計を保っている。


中国語で「城」は、町を表す。古城は古い町という意味だ。
昔の中国は街を城壁で囲っていたが、現存するものは、西安とここ平遥など数えるほどしかない。

まず北門の城壁に登った。
城壁は全長6.4km、高さ8m〜12mあるそうだ。


一周すると、1時間半くらいかかるらしい。 チャリで周れるとのことだったので、時間があったら周ってみようと思ったが、結局時間がなくてできなかった。


城内は上からみると、思ったより広い。
灰色の屋根が連なって、とてもキレイだ。



「記念撮影用の人力車のおじさん」


その後、平遥古城の中を、電動カートをチャーターしてめぐる。
ドアもないのに、思ったより速くてちょと怖い。石畳の道を走ると、ガタガタと揺れて、落ちそうになる。



清虚観


ここは、唐代に建てられた、道教寺院だったところだ。
クビを切られた石仏や、首だけの石仏などが置いてあった。

また、箱に入っている紙で作られた人形がたくさん展示してあった。
お正月に陳列していたもので、ガラス箱に高さ80cmぐらいの3体の人形が納まっている。
京劇をテーマにしたものが多いのが特徴らしい。




文廟(孔子廟

ここは3〜5年前まで、学校として使っていたという。
現存している文廟の中では、めずらしい宋・金時代の建築様式ものだそうだ。
敷地が広く暑さのために、ちょっとバテ気味になった。


「文廟から見えたレンガ造りの教会」



昼食そして…

お昼は平遥料理。
粉の塊を包丁で切って飛ばす刀削面、小さな塊を粘土のようにひねって作る猫耳面、丸く伸ばして輪にし蒸篭で蒸す筏面などを食べる。

「筏面」




刀削面は、日本の飯田橋の店で食べたほうが美味いと思った。ちょっと固かったし。
ガイドさんも、この店の刀削面は固いって言ってた。

昼食を食べてるとき、流しの歌い手がやってきた。
狭い店なのに、スピーカーを持参し、想像を絶する大音量で、歌っている。
しかも、いっちゃわるいがあんまり上手くない…。
ギターかき鳴らして、怒鳴ってるだけのような気が…。あれで1曲10元もとるらしい。

かなり気分を害していたら、なんとなんとガイドさんは相当気に入ったらしい。
「とっても上手ですねぇ。そう思いませんか?」とうっとりしながら言われたので、
「え?うーん、そうですかねぇ…?」と答えた。日本人の悪いクセだ。

今となっては笑えるが…

はっきり答えなかった私たちが悪かった。
私たちの反応にはお構いなく、あれよあれよという間に、セッティングをし始めた。


その食堂のあるホテルの中庭が、ちょっとステキなつくりになっていて、とても雰囲気のある場所だった。



食事をする前に見学させてもらったのだけど、みんななかなか気に入っていた。
見学してるとき、ガイドさんが「後でここでお茶をしましょう」と言っていた。そのときは、まさかこんな拷問のような時間が来るとは、誰も想像だにしていなかった。

…そう。


そのステキな中庭で。



ちっとも上手くない流しのおっちゃんの歌を。



ボリューム最大で。





3曲!!!も




…聞かされたのだ。

しかも、なんと具合の悪いことに、ガイドさんは全身全霊200%以上の好意で、
私たちのためにその場をセッティングしてくれている。
決して私たちに、嫌がらせをしようとしていたわけではないのだ。

「この曲は私からのプレゼントです!」って言われちゃ、「いや結構です」とは言えねぇっすよ…。
あたしたちゃ、根っからの日本人なのだ。


10分弱の拷問のような時間が、果てしなく長く感じられたのは、言うまでもない。
満足しながら、うっとりしっているのは、ガイドさんだけ。

きっと、カレは、「オレ、すっげぇいい事をした。これこそ日中友好だ」と思っていたに違いない。



これじゃあ、日中友好の架け橋が折れちゃうよ…と思いつつ、まるでコメディ映画を見ているような展開に、憮然としつつもおかしくなってしまった。
これで帰ってから旅行社にクレーム上げたら、彼は人間不信に陥ってしまうかもしれない。


しかし、この温度差は、いったいなんだろうか?
国が違うから?文化の違い?世代の違い??うーん…。

県衙(けんが:県庁)


午後は、数年前までは役所として使用していたという県衙(けんが:県庁)へ。
中には昔の牢獄もあり、なかなか面白かった。


ガイドが展示されているパネルを見ながら、平遥の歴史を説明してくれたが、次第に飽きてくる。
窓際に何気なく置いてあった緑の動物の形をしたジョウロに興味をひかれ、写真を撮っていたら、同行者にあきれられた。

それにしても、屋根瓦に鬼?の絵が描いてあったりしてなかなか面白い。



展示されているパネルを1つ1つ見ながらの歴史の話もいいけど、授業を聞いているようであまり興味を惹かれない。
せっかくその場に足を運んでいるのだから、もう少しゆっくり建物やらその使い方とか、鬼瓦の由来とか、そいういうことを教えてほしいのだけどなぁ…とちょっと不満。



疲れたので一旦休憩。

いったんホテルに帰って一休みをした。
あまりの暑さと、昨日の寝不足&食後の拷問により、バテバテだった。
ホテルの部屋のクーラーをかけて、少し横になる。



平遥古城は、通しチケットになっているらしく(結局チケットはもらえなかったので、詳しくはわからない)、1箇所行っても古城内の観光施設全てを周っても同じ料金らしい。私たちは、勢いよく何箇所もまわっていたらしい。他の観光客よりも多いですよとガイドが誇らしげに言っていた。

といっても、ちゃんとメモを取らずにまわっていたので、今となってはどこを回ったのか記憶があいまいになってしまったのだけど…。


だいたい、大小の差はあれど、すべて四合院造りの建物で、あげくにガイドはひたすらパネルをみての説明なので、すべて似たり寄ったりの印象になってしまっているのだ。

ふたたび観光

夕方になって、ちょっと平遥古城内をブラブラ歩いてみたいと思ったけど、またまたガイドさんが張り切って、「日昇昌」に、有無を言わさず入っていった。
四合院造りの立派な建物だ。

平遥は、中国の金融業の発祥地と言われており、大小の個人経営の店舗がたくさんあり、全国に支店を構えていた。
「日昇昌」は、中国で初めて“票号”(為替)を用いて、全国各地に現金を送らずに為替を送るという為替業の原形を生み出したといわれている。


蝋人形などで、当時の店内の様子を再現しておりなかなか面白い。
金庫は、人々が最も出入りするところの足元つまり地下にあったそうだ。そこが一番人目があり盗まれにくいと考えたようだ。

ガイドは奥の部屋にある展示物(パネル)を一つ一つ丁寧に説明してくれるのだけど、それよりも建物の屋根の模様とか、壁の柄とかのほうがよっぽど興味があるあたしは、結局ガイドさんの説明を途中で聞くのをやめて外でボーっと建物を見ていた。



双林寺(世界遺産

その後、朝のワゴンに乗り城外にある双林寺へ。
引退した寺らしく、活気がまったくない。


木像の菩薩などがたくさんあり、なかなか荘厳だったが、世界遺産のわりには、なんだか保存方法が雑な気がする。

ガイドが私たちそっちのけで案内板を1人で読んでいたので、その隙に寺の前に広がる麦畑とどこまでもまっすぐに伸びた並木道を撮影しに寺の外へ。

なんか、映画に出てきそうな風景だ。

寺の前の小さな村では、歩道で子供たちが台球(ビリヤード)をしていた。

平遥付近では、とっても流行っているらしい。どこもかしこも青空台球をやってる風景が繰り広げられていた。

畑の風景を撮影していたら、かわいい姉妹がいたので、写真に撮ろうとしたら逃げられた。
回族の子供らしい。姉は6歳前後、妹は3歳前後だろうか。エキゾチックな顔立ちをした、とってもかわいい姉妹だった。




新疆に行ったときは、子供にカメラを向けると、みんな喜んでポーズを取ってくれたのに、ここではカメラを向けるとみんな逃げてしまう。
ラサでは、子供の写真を撮ろうとしたら、「5元」って言われたし。
その土地土地の文化や、民族の違い、また生活水準も関係があるのかもしれない。




市楼

夕食まで時間があるので、城内散策へ。

ブラブラと商店を見ながら繁華街を歩く。布靴(カンフーシューズみたいなやつ)がこの地方の伝統工芸らしい。店先で、職人さんが手作りしている。

古城の中心に建っている市楼と呼ばれる、高いやぐらに登ってみることにした。ここは通しチケットは対象外らしいので、別料金5元を支払う。


はしごのような急な階段を上まで上ると、そこから平遥古城の灰色の屋根が眼下に広がり、絶景だった。


夜登ったら屋根の間から、赤い提燈の明かりがやわらかく灯り、幻想的だろうなぁと思う。



市楼からおりて、隣の土産物屋を覗いてるときに、腿と膝に違和感を覚える。
なんだか変だなと思い、近くに置いてあった椅子に腰掛けようとした瞬間、脚に痛みが走った。
明らかに運動不足と市楼の急激な階段を登ったことからくる、筋肉痛だ…。



「いたーーい」


と叫んでいたら、
それまで余裕の顔して店内を物色していたガイドと一緒に行った2人も、
次々と「あ゛〜!!」と言って、脚の痛みを訴えた。
そのタイミングと、全員が全員痛みを訴えたことに、おかしくてみんなで顔をしかめながら大笑いをした。

黄酒

とりあえず、向かいにある黄酒を作ってる店「長昇源」で一休みしましょうとガイドに言われ、店内へ。


裏にある工場も見せてくれるということで、覗きに行く。
黄酒って、紹興酒のことだと思っていたら、ちょっと違うらしい。
お酒は大好きだけど、日本酒・ワイン・中国のお酒を問わず、酒蔵を実際に見るのは初めてだ。


「後ろに見えるのは、市楼。原料をより分けているおかみさん」


昔ながらの製法を守って造っているらしく、発酵させている部屋では機械での空調管理ではなく、部屋の下で火を焚いていた。部屋の入り口のすぐ脇にかまどがあり、あやうく、火の中に落ちそうになった。


そうやって一つ一つ手作りをしている酒なのに、1本12元と安い。
味は、紹興酒に似ているけど、ちょっとあっさりかな。
思わず購入するけど、よく考えたら飲む時間がないかも。

中庭で夕食&自由行動

夕食は、宿泊ホテルの中庭で。
7時を過ぎてるのにまだ明るい。
食事が終るころになって、ようやく薄暗くなり赤い提燈に明かりが点った。

とっても幻想的で美しい。
チャイナドレスとか着ていたら、きっとこの風景にバシッとはまるんだろうなと思いつつ。



夕食後、ようやく自由行動。
ホテルの前の道は、一応メインストリートらしい。日中は交通規制をしていて、電動カートですら通れないのだけど、夜になって規制が解除されるととたんに行き交うカートで大渋滞だ。
気を抜いて歩いていると、轢かれそうになる。

それにしても本当に埃っぽい。
町中の埃が一気に舞い上がっている感じだ。
平遥の付近は、炭鉱の町らしく、空気がとても悪いのだ。
夜の風景を写真に撮ろうとして、フラッシュをたいたら、画面に映ったのは、なんとホコリばかりだった。
ホコリがフラッシュに反射して、雪を撮っているかのようだ。それくらい埃だらけなのだ。びっくりした。



次回来ることがあったら、マスクを持参すべし。

城壁のライトアップがあるかも?と思いみんなで西門まで歩く。
夜は、写真を撮るとフラッシュが光るため、隠し撮り?しにくい上に、ライトアップもされておらず、トボトボと帰る。

疲れたー。もう歩けないよー。

と騒いでいたら、今回のメンバーで一番若いO君が電動カートのおばちゃんと交渉して、5元で乗せてもらえることに。


安い!

O君は、社長から私たち2人のお守りをするように頼まれていたらしい(^_^;)
わがまま放題の私たちの世話をするのは、きっと大変だったろうなー。

カフェ「さくら」で、コーヒーフロートを頼む。あんまり美味しくないけど、埃っぽくてイガイガしていた喉は潤った。
お店からのサービスで、「粽子」が出てくる。この日は、ちょうど端午の節句で、粽子を食べる日だったそうだ。おなかいっぱいだったけど、せっかくなので一口食べた。

前日の火車では、ほとんど眠れなかったのと、朝からうだるような暑さの中(35℃くらいあったらしい)、観光していたため、疲労困ぱい。
ホテルに戻り、夕方買った黄酒を飲む気力もなくそれぞれの部屋に。


水圧の低いシャワーでなんとか身体を洗い、オンドルベットが思ったほど固くない
のに驚いたり、天蓋のオーガンジーを意味もなく下ろしてみたりしてちょっと遊んだあと、倒れこむように眠りについた。