ラサの旅②

liyuan2005-05-05

いよいよ念願のポタラ宮

今日は、朝からラサ市内観光だ。いよいよポタラ宮へ行ける!!
ポタラ宮は、ラサの象徴であり、1994年に世界遺産に登録された。
近年は観光客が激増しており、建物保護のために入場制限をしていて、チケットに入場時間が書いてあってそれより早くても遅くても入れてくれない。しかも途中3回くらい係員のチケットチェックを受けるのだ。
外国人は入場券が100元もする。信者は無料だというので、じゃあ外国人の信者はどうするんだ?と疑問に思う。


ポタラ宮は自由に見学できるわけではなく、決められたコースを順々に観るようになっているらしい。
今年は、ポタラ宮の東側から周るコースだそうだ。
真下から見上げると、ポタラ宮自体が小高い白い丘のようだ。
高さは115mもあるらしい。上まで登れば、富士山山頂とほぼ同じ標高になる。
階段を一段一段登り、入り口までたどり着くのに、ゆうに15分くらいかかる。


しかも高地のため、少し動くとすぐ息が切れる。深呼吸をなんども繰り返しながら、ゆっくりと上を目指す。
ゼェゼェしながらやっと入り口に到着した。
ポタラ宮は、17世紀中期に政教両面の権力を握ったダライラマ5世が建てた白宮と、その後建てられた紅宮(真ん中の茶色の建物)を中心とする複合建築物だそうだ。
白宮は、ダライラマの住居であり、政治を執り行う場所であり、紅宮は歴代のダライラマの霊塔などがあり宗教の中心地となっているとのこと。

「白宮」


まず、ポタラ宮内部はトイレが一箇所しかないとのことで、入り口を入ってすぐにあるトイレに案内される。
入り口に分厚い布団のような布がかかっていて、それを押して中に入ると、だだっ広い部屋に和式?の便器が2個並んでおり、ドアどころか、仕切りの壁すらもない。
仕切りもないところで、ちょうど女性が2人トナリの人と仲良く一緒に用を足しているのをみて、今までひどいトイレはいくつも体験してある程度のことはガマンできる私も、さすがにちょっと驚いた。
先客がいたのと急を要していたわけではないので、そのまま戻る…。


気になって北京に戻ってから、インターネットで調べたら、中国のトイレ事情って結構出てるもんだ。
ポタラ宮のトイレについてもいくつか写真付のサイトを発見。
どうやら、私が見たトイレは、2001年以降に改装されたものらしいが、なんと空中トイレらしく、トイレの下は20mほどの崖になっているという。しゃがみこんでふと下を見ると、眼下には20mの崖…。高所恐怖症の人は、足がすくんで、用が足せないと書いてあった。
おぉ!!そうだったのかー!!そんなめずらしいトイレであるならば、2つ並んでいるくらいで、たじろいできびすを返すんじゃなくて、ちゃんとこの目で確かめておくべきだった…。今更ながらかなり悔やまれる。



現役バリバリの寺というものは、信者でなくても身が引き締まる思いがする。
神仏に対して、思わず畏敬の念を抱いてしまうほど、荘厳で、厳粛な雰囲気がたたずんでいるのだ。
まず3階までひたすら狭い階段を登る。一段上るたびに息が切れる。その上、なんだかホコリっぽい。
やっとの思いで、紅宮の屋上に出た。黄金の屋根や、黄金に輝く霊塔がそびえ立つ。(歴代のダライラマのものらしい)


順路に従って、仏像殿やら観音殿を見学する。
バターに火をともしたろうそくが、あちらこちらに灯っている。独特の匂いが少々きつい。
立体曼荼羅は、金銅製で、大小の宝石がたくさん埋め込まれ、緻密な彫刻が施されていた。


ポタラ宮内のすべての財宝を換金すると、中国13億人が3年間働かなくても食べていけるといわれている。
それほど価値があるということらしい。
それだけダライラマが、政治と宗教の権力を握っていたことになるのだろう。
すごいことだ。そして、それだけチベットの人々から崇拝されていたということが、良く分かる。
歴代のダライラマの霊塔にも、何トンという単位で金が使われ、瑪瑙(めのう)やらルビーやらダイヤなどの宝石がちりばめられていた。ほとんど信者からの寄付なのだそうだ。
ガイドは、霊塔に納められたミイラが見えるといっていたけど、私にはどーしても見えなかった。


ポタラ宮殿内の休憩スペースで、一休み。
そこの売店で、ポタラ宮殿内限定発売(と店の人は言っていた)の写真集を購入。
寺院などは、たいてい写真がとれないため、そういう時は、写真集か絵葉書などを購入するようにしている。でも、結局買って満足して、家に帰ってからは手に取ることも少ないのだけど。


ポタラ宮の坂道を下る途中、ポタラ宮の上だけ雲が晴れてまるでポタラ宮を照らし出すかのように太陽の光が差し込んだ。青空にポタラ宮の白壁が、まぶしい。
坂道の途中で、石に彫った経文が置いてあった。石にどんな思いで経文を刻むのだろうか。人々の信仰心の強さを感じた。

「青空と白壁のコントラスト」


「石に彫った経文」

絨毯工場見学

絨毯工場でトイレ休憩。
トイレは、ドアもありキレイだったけど、ここもやはりなぜか1つの個室に2つの便器が仲良く並んでいた。
これって何か意味があるのかもしれないなぁ。他の地方では、あまり見ないもの。

チベット式トイレ。やはりナゾだ。同時に2人が用を足せるなんて、効率的といえば効率的だけど…。」


絨毯工場は、簡単に言っちゃうと、ただの土産物店だ。
一応、絨毯を織るスペースもあり、女性がそこで作業をしていたが、あれはきっとデモンストレーションの意味合いのほうが大きいだろう。


店員がしつこく商品を勧めてくる。面倒くさいので、適当にあしらいながら一応店内をくまなく見学。
タンカと呼ばれる、特殊な加工をした布に宗教的な絵が描いてあるものが大中小様々なサイズで売っている。全て手書きだそうだ。
「天珠*1」と呼ばれる、虎目石やら瑪瑙の加工品がたくさん売っていた。
天珠は、魔よけ厄除けなどの様々な意味があり、模様の種類によって、石の持つパワーが異なるらしい。
目みたいな模様が入っている。値段はピンきり。
でも安いのは、偽物だといわれたので、なんとなく手が出なかった。


ポタラ宮が一番きれいに見えるという場所まで、移動。徒歩3分くらい。
小さな岩を登るのだけど、よじ登るだけで息が切れた。
さっきまで覗いていた青空は、すでに雲で覆われてしまい、ポタラ宮上空は厚い雲に覆われてしまった。
残念!!


車にてチベット族が住む旧市街エリアに移動。
昼食を取る。
案の定、雨が降ってきた。

大昭寺(ジョカン)

傘を差しながら、チベットで最も聖なる寺院といわれる大昭寺(ジョカン)へ。
この寺院は、7世紀中期に創建されたそうだ。屋根に、金色の鹿が2匹とその間に法輪が鎮座している。


中に入ると、様々な仏像が祭られているお堂がぐるりと四方にあり、それを時計回りに一つずつ見て回る。
ガイドさんがとても詳しくて、一体ずつ丁寧に仏像の名前とお堂の由来を語ってくれたが、メモを取らなかったので忘れてしまった…。


屋上に上り、そこから下を見ると、巡礼者が五体投地(身体を地面に投げ出して祈ること)をしている人たちが見えた。


ここからみるポタラ宮も美しい。


ポタラ宮にもあったのだけど、扉の上に獅子のような犬のようなでも口は鳥のくちばしのような変わった飾り(おそらく魔よけだと思う)が、なんだか可愛いので写真を撮った。


美しい壁画や、バター細工などもあった。


その後、寺の周囲をぐるりと囲むように設置されているマニ車チベット語の念仏を「オーマニベメホン」と唱えながら廻して歩く。結構な数だ。
ブツブツしゃべりながら歩くので、かなりの体力を消耗。
本当に、空気が薄いんです!!

八角街(バルコル)

寺を出て、八角街(バルコル)を散策する。
ここは、大昭寺の周囲を巡る道で、土産物屋などがたくさん店を並べ、青空市場のような感じで、とてもにぎわっている。仏具などがたくさん売っているあたりが、チベットらしい。
この道は、地方から巡礼に来た人たちの巡礼道でもあるとのこと。
携帯用のマニ車を片手で回し、もう片方の手は、数珠を持ったチベット族の人をたくさん見かけた。


八角街の雑踏の中、五体投地をしている老人がいた。彼のおでこは青くなっている。刺青かな?と思ったら、なんと五体投地ダコ(?)だというではないか。一体どれだけ地面におでこをつけてたら、あれだけのタコができるというのか…。



土産物屋で、休憩をする。
日本語が上手な店員がたくさんいて、ちょっとびっくり。
こんな辺鄙な場所でも日本語しゃべれる人がいるなんて。と思っていたら、買い物客は大半が日本人だった。
そんなに歩いたわけでもないのに、なぜか疲れがどっと出る。やはり高地のせいだろうか?
ヒマなので、店内を物色していたら、可愛い銀細工でターコイズがついたブレスレットを発見。
法外な値段を吹っかけてきたので、どーしてもほしい訳じゃなかったから、絶対店員が売らないと言うと思う値段を言ったら、あっさりOK。


…え?
駆け引き無しっすか?!
一発OKですか?!
そ、そりゃないよー。


なんだか、店員の思うつぼだったようで、かなり悔しい。
しかし、あっけなく交渉成立したのに、やっぱりいらないとか、やっぱりもっと下げてよとかいうのは、中国での買い物マナー(そんなものが存在するのか!?)に反するような気がしたので、仕方なく買うことにした。と言っても、日本円にすると400円くらいの出費なのですが。
しかし、ガイドにそのブレスレットを見せたら、「これなら、外の店に行けば8元(100円くらい)で買えますよ」と言われた。


…あぁ、撃沈。


ひどく損をしたような気分になっていたら、同行のYさんがタンカの押売にあっていた。
かなりの勢いで、勧められている。でも、1枚くらい記念で欲しいなぁと思っていたのと、ブレスレットでなんだか不完全燃焼をしてしまった直後なだけに、私も自ら参戦。
手描きなので、思ったほど安くならない。結局、2枚買うから安くして!と言って、勢いで私も購入してしまった。
冷静になると、どこに飾るんだよ!?って代物なんだけど・・・。


バター茶初体験

夕食は、ネパールカレー。

「ネパールカレーとバター茶)」


ラサの名物料理はないのか!?とちょっと憮然としながらも、ここで、私は念願のバター茶をオーダー。
テレビの旅番組で、バター茶を飲んでいるのを何度か見たことがあって、一体、どんな味がするのだろう!?とずっと飲んでみたかったのだ。
イチゴ柄のティーカップに入って来たバター茶は、見た目はロイヤルミルクティーっぽくてかなりイケてる。
でも次の瞬間、あのバターロウソクの形容しがたい香りが漂ってきた。
え?これヤバいかも。
と思いつつ、鼻をつまんで飲んでみる。


うっ、まずーーっ!!!


今まで、飲んだことのない飲み物だ。かなり濃厚だけど、香りも味も受けつけない。
味は、しょっぱい濃いバターを紅茶に入れた感じ?うまく表現できない。
日本人って、味噌汁以外はあまりしょっぱい飲み物は飲まない。
あまりのまずさに、倒れそうになった。
チベット族の人たちは、このバター茶で栄養補給をしているようですが、すでに栄養過多気味の私は、無理して飲む必要はないっす(^_^;)


うわっ!初日にお土産で、バター茶買っちゃったよー。どうする〜?!と3人でブルーになった。
結局、話のタネで配ればいいじゃん!?ということになったのたけど、それが、前出の「いやげもの」になるわけです…。まずいとわかっているものを、お土産で配るのはちょっと心苦しかった(笑)

凍えた夜

夕食中に天候が急変して、外は嵐のようになった。風が吹き荒れ、大粒の雨も降っている。
食後に、旧市街を散策する予定だったが、急遽中止。
慌ててホテルに戻る。


ホテルの部屋は相変わらず寒い。
窓の外の音が、くっきりはっきり聞こえてくる。
おかしいなぁと思って、チェックをしたら、窓の下側が割れていた。


あ、ありえなーい!!


そこから隙間風が入ってくるんだ!!応急手当で、隙間をふさぐ。


シャワーを浴びるのも命がけだ。
服脱ぐのも寒いし、シャワーを浴びると血圧が上がるから危ないとか言われるし、でも温まるかなと思って、チャレンジ。
しかし、水量も少なく、生ぬるいお湯が出てくるだけで、あまりの寒さに、カラスの行水ばりの速さで終了。


何でこんなに寒いんだーーーー!!