ハルピン旅行

旅人15人


【ハルピンへの思い】
2年前、留学先を決めるとき、ハルピンは最後まで迷った場所だった。

中国の東北部の黒龍江省省都で、人々が話している言葉は中国語の普通語(標準語)に近いとも言われている。
しかも北京や上海などの大都市と比べて、物価が安いため、学費も驚くほど安い。
散々迷ったが、やはり冬の寒さがネックとなって、結局ハルピンは諦めた。

ハルピンの氷祭りは、中国語のテキストでその様子が紹介されていて、観にいきたいと思っていた。
東北出身の老師(先生)や同学たち(クラスメート)が口をそろえて、
「素晴らしい。ぜひ見るべきモノだ」と言っていたからだ。


そんなわけで、私にとってハルピンは、一度はぜひ行ってみたい場所だった。

しかも真冬のハルピンに。



社内限定ツアーの行き先が、ハルピンに決定した。


しかし、苦手な夜行列車の旅だ。真冬は−30℃にもなるという。


コンタクトは大丈夫だろうか?


寒さには耐えられるだろうか?


いざとなるとちょっと躊躇してしまったが、きっとこのチャンスを逃すと、2度と行かない
かもしれない。そう思って、参加を決意した。


コンタクトは、コンタクト販売会社に問い合わせをしたら、目の体温があるからおそらく−30℃でも凍らないと思うので、大丈夫だろうとのこと。
これで安心して出発できる。



【1日目】



金曜日の下班後(終業後)、手配したサンドイッチとおにぎりを取りに行き、急いで自宅に戻りシャワーを浴び、予定より10分遅れて来た出迎えのバスにのった。


今回の旅は、15名という大人数だ。しかも3歳の女の子を筆頭に、子供が5人もいる。
バスの乗り降りだけでもいちいち時間がかかる。大丈夫か?先行きが心配だ。



20時30分頃、北京駅より無事出発。
ハルピン行きの列車は、最新式だったのか、とてもキレイだった上に、各ベットにテレビまでついていた。トイレも洗面台もびっくりするほど清潔だった。



寝台車は汚いというイメージは、もう古いのだろうか?

お弁当を用意していないメンバーもいたので、みんなで見学がてら食堂車に行ってみる事にした。
満席のため、10分ほど待ち、4人がけのテーブルに無理やり5人で座って注文をする。


ハルピンの地ビールハピ」を飲みながら、出てきた料理をつついていた。思ったほどは美味しくない。


一番最後に出てきたカレーは、とても食べられた代物ではなかった。
見た目はちゃんとカレーをしているのだけど、味は完全に中国の調味料の味だ。


想像を絶するマズさだ。


みんな一口食べて、それ以上手をつけられなかった。
きっと厨師はカレーを見たことはあっても、食べたことがないんだろう…。
写真だけじゃ、味や香りはわからないものね…。

カレーのあまりのまずさに、ひとしきり盛り上がったあとは、部屋に戻り、各々テレビを見たりしながら眠りについた。


…と言っても、


やはり寝台車では眠れない。
ウトウトとするのだけど、ガタンゴトンと揺れるたびに、目が覚めてしまうのだ。
早く朝にならないかなぁと思いながら、浅い眠りをさまよっているうちに、出発から10時間半後、ようやくハルピンに到着した。